ワインボキャブラ天国【第94回】「柑橘類の皮」英:zest 仏:zeste
- 2021.09.04
- ワインボキャブラ天国
- クレマン, シャンパーニュ, スパークリングワイン, テイスティング, フランス, 生産者, 白ワイン, 香り
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「柑橘類の皮」
英:zest
仏:zeste (女性名詞 発音は「ヴィオレット」)
柑橘系フルーツを使った表現については、これまでに「レモン」「グレープフルーツ」をご紹介してきました。今回は「柑橘類の皮」というちょっと応用的な表現。フルーツの皮の部分、という表現は他の果物ではなかなかありませんが、例えばレモンの皮はカクテルなどにも使用されますし、日本だったら柚子という「実は皮こそが主役」みたいなフルーツもありますよね。つまり、それだけ香りのアクセントとして役割を果たせるということ。ワインの香り表現の中にひとつ細分化されているのも不思議ではないと思います。
それでは、まずは過去2回分のコラムを復習の意味でご参照ください。
実はすでに「レモン」の回で書いていたのですが「柑橘類の皮」を表現として使用するのは、香りに少し青みのある若々しさや、苦みを感じさせるようなニュアンスがあった時。柑橘系フルーツの表現を使うのはフレッシュで溌溂とした、キレの良い酸があるような若い白ワイン、スパークリングワインが主で、その中でも特に切れ味のシャープなスタイルのワインに「皮」のニュアンスを感じることが多いと思います。
僕が個人的にこのニュアンスを良く感じるのは、少し酸の強いタイプで、ノン・ヴィンテージの若いブラン・ド・ブラン・シャンパーニュ。実際にこれまでのテイスティングノートを見返してみたところ、この表現をメモとして残していたブラン・ド・ブラン・シャンパーニュ(またはクレマン)はかなり多くありました。
鼻にスッと抜けるような柑橘系フルーツの香りの後に、ほのかに残るレモンの皮の香り。この1アクセントがあるからこそ香りの後半に締まりが出て、より多層的な香りを楽しめているのかもしれません。
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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