ワインボキャブラ天国【第142回】「色調」 英:colour 仏:robe
- 2022.09.18
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「色調」
英:colour 仏:robe(女性名詞:発音は「ローブ」)
同じ赤ワインでも、「色調」は結構違うもの。
ワインの色なんて、白ワインなら白、赤ワインなら赤、でしょう?と思っていませんか?
…実は、そんなことはないんです。
今回は、同じ赤ワインでも色合いの違いが幅広く存在しあり、そしてその違いにはワインのタイプや状態など、重要な情報が含まれている、ということを知って戴ければと思います。
まずは、下の画像を見てみてください。これは、6つのワイングラスに6種類の異なるワインを少量ずつ注ぎ、 グラスを横に倒して並べた状態のものです。
これを見ただけで、同じ赤ワインでも色合いに違いがある、ということがすぐに分かるはず。特に、左から2番目と3番目の比較が一番分かりやすいかと思います。非常に薄く透き通ったオレンジ色のような2番目のワインと、紫色に近い色合いの3番目。ブドウ品種の違いや、熟成させた年数などによってワインの色にはこれほどまでに違いが出ます。
ワインの色合いを見るときには、このようにワインをやや少なめに注ぎ、 グラスを斜めに傾けたり倒したりして液面を広げると見やすくなります。ご自宅でワインの色合いを細かく見てみたいと思ったら、このやり方を試してみてください(傾けすぎてこぼさないように気を付けて!)。
ワインの色調を見ていく手順をご紹介。
では、今回は赤ワインを題材として「色調を見て、ワインの状態を判断する」にチャレンジしてみます。
まずはワインを眺めて・・・どんな色合いに見えるかを書いてみましょう。ただ「赤」や「黄色」だけでなく、濃い・薄い、●●色に近い・・・など、出来るだけ具体的に表現してみると良いと思います。
1.まずは色合いを確認する
一見して色が濃く黒っぽいか、それとも明るい赤で透明度があるか。グラスを少し傾けて見た時に、口近くに広がる液体の色がピンク系か、青紫系か、オレンジ系か。
2.色合いを確認する目的は?
ワインの状態やタイプ、年齢を確認することです。
下の図のように、「青みがかった紫色/ピンク色」⇒「鮮やかな赤/ルビー色」⇒「オレンジがかった赤」⇒「煉瓦色/茶色に近い色」に分かれていきます。青・紫・ピンク色は「まだ若々しい、造りたてのフレッシュなワイン」の色。表の右に行くにつれて、年齢を経たワイン、つまり熟成を示す色合いとなっていきます。
3.色調から得られる情報は?
前述したように、ワインの色合いから使われているブドウ品種や味わいのタイプを推察することができます。
例えば、紫色のニュアンスを強く持っているワインは必ず「紫色・黒っぽい果物」の香りや味わい要素を持っています。例えば、ブルーベリー、カシス、ブラックチェリーなどの、凝縮感の強いフルーツ。この色系統から「黒系果実のイメージがある、パワフルでがっしりしたスタイルのワインかな」と思い描くことができます。例えばボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨンが多く使われた力強いワインなどです。
一方で、「赤・薄いオレンジ」の色調を持つワインは「赤い果実」の香りや味わい要素を持っていることが多いですね。例えばイチゴ、ラズベリー、さくらんぼといった、フレッシュで甘酸っぱい印象のフルーツです。この色系統から「果実の酸味が心地よいタイプのワインかな」と思い描けます。例えばブルゴーニュのピノ・ノワールを使ったエレガントなスタイルです。
このように、ワインの色調にはそのワインの味わいタイプや楽しみ方を紐解く様々な情報が含まれています。
慣れてくると、良く知らないワインでもボトルを傾けて色調を見るだけで「あ、このワインはこういうタイプだろうな、だったら○○みたいな料理と合わせてみるか・・・」のように推察をすることが出来るというわけです。
これから、ワインを楽しむ前には是非自身の目で色調を確認して、どんなワインなのか想像力を働かせてみてください。この推察が大体当たるようになってくると、ワインの楽しみ方が一気に広がりますよ。
ということで今回の「ボキャブラ天国」はこれにて終了。
今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!
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