ワインボキャブラ天国【第147回】「しなやかで口当たりの良い」 英:supple / soft in the mouth 仏:souple
- 2022.10.30
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「しなやかで口当たりの良い」
英:supple / soft in the mouth
仏:souple(形容詞:発音は「スープル」)
「しなやかな」ワイン…今日は口当たりに関する言葉です
「しなやかな」ワイン、皆さんもどんなワインかすぐに浮かぶのではないでしょうか。想像してみてください・・・僕は今、想像したらちょっと口の中に唾液が増えました 笑
ワインの「しなやかさ」とは、基本的に「タンニンや酸、アルコールなど口の中に刺激を感じさせる要素が少なく優しいタッチ」であることを表現する言葉だと思って戴ければと思います。果実の熟度が高く、アルコール度数も比較的高めで粘性もしっかりと感じられる、そして全体的に丸みがあり柔らかなワインに出会ったときにこんなふうに表現したくなります。
ですから、ワインの「しなやかさ」は必ずしも特定の産地やブドウ品種に限られた特徴ではありません。ボルドーでもブルゴーニュでも、カベルネでもピノでもシラーでも、どんなジャンルのワインにも「しなやかな」ものは存在します。造りが非常に上質で味わい全体のバランスが良く、余計に突出した部分が少ないワイン、そして仕込まれた後に適正な熟成期間を経て落ち着いたワイン全てに当て嵌まる表現ですよね。
尖ったところが無くとても柔らかで優しい舌触り、口当たりを感じられた時に「しなやかなワインですね」などと感想を言う、そんなときに思わず口を突いて出る言葉です。
ワインの口当たりを「アタック」と呼びますが・・・
さて、それだけで終わってしまうとあまりにも短いので少しおまけを書き足したいと思います。
ワインを口に含んだ時の口当たりのことを「アタック」と言うこと、ワインテイスティングをちょっとでも勉強された方でしたらご存じですよね。「アタックには黒系果実の凝縮した味わいをまず感じ、その後に瑞々しい酸味が・・・」なんていう風にコメントしているのを見たことがあるのではないでしょうか。
この「アタック」は、は音楽などで使われる用語の「最初の出だし」を意味する「アタック」です。僕自身のお恥ずかしい話をしますと、結構長い間この言葉の意味合いを折り違えておりました。ワインを口に含んだ時に舌先で最初に感じるタンニンや酸などの刺激要素から「舌への刺激・攻撃⇒アタック」と称するのだ・・・という勘違いをしていたんですよね。実に無知でした。。。
ですからこの言葉を置き換えるならば「ファーストタッチ」などが近く、一番最初に感じる味わいを表現するときに使うのが正しいという訳です。
ということで今回の「ワインボキャブラ天国」は大分短いですがこの辺で・・・今回は関連コラムとして、これまでにご紹介してきたワインの「口当たり」に関連する語句を4つほどピックアップしています。香りや味の表現だけでなく、口当たりについての表現も充実させてみたいな…と思った方はそれらのコラムも読んでみてくださいね。特に「ヴィロードのように滑らかな」の回では、ワインのタンニンが滑らか、しなやかに変化していく仕組みも簡単に解説しておりますので是非。
今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!
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