ボージョレ・ヌーボー、そろそろ卒業しませんか?
- 2020.06.22
- なるほどのあるワインコラム
- シャトー・アントニャック, ピノ・ノワール, フランス, ブルゴーニュ, ボージョレ・ヌーボー, ラングドック, 価格, 値段, 輸入, 輸送
今回のテーマは「ボージョレ・ヌーボー卒業宣言」。
やや挑戦的な内容ですので、もしかしたら炎上してしまうかも??という覚悟を持って書こうかなと思います。
ボージョレ・ヌーボーの解禁日にはコンビニエンスストアやスーパーにも
「ボージョレ・ヌーボー予約受付中!」のポスターやのぼりがたくさん掲示されてます。
そしてもう毎年お約束のお家芸となった“100年に一度”的な煽り文句、
毎年これは結構楽しみだったりもします。「今度はそう来たか!」という感じで・・・。
実は昨年の今頃にも同じようなコラムを掲載したのですが、
新しいお客さまも沢山いらっしゃいますので改めまして皆様にお伝えしておこうかと思います。
『Firadis WINE CLUBではボージョレ・ヌーボーは一切取り扱いません。』
理由はとてもシンプルです。
「高い航空運賃が上乗せされたボージョレ・ヌーボーより、同じ値段かそれ以下ではるかに美味しいワインがたくさんあるから。」
それだけです。
正直に言いますが、これを書いている店長のはもう10年以上自分でボージョレ・ヌーボーを買ったことはありません。
コストパフォーマンスがイマイチなワインだとしか思っていないからです。
僕は以前、別のワイン輸入商社2社でボージョレ・ヌーボーの輸入に直接関わっていたことがあります。
ビール会社など大手のワイン輸入商社が販売するボージョレ・ヌーボーの量は膨大で、
最盛期はなんと1,000万本以上のボージョレ・ヌーボーが日本に輸入されていました。
日本人の成人人口から考えれば、10人で1本飲むくらいのイメージです。
現在はさすがにそんな勢いも無くなり、輸入量はその半分にも満たないかと思いますが、
それでも今年も数百万本のヌーボーが飛行機で運ばれてくるはずです。
そして、普段はワインにあまり興味がない方も、この時だけは2-3,000円もするボージョレ・ヌーボーを何種類も試されるようです。
僕がここで思うのは、ワインを普段飲まない方たちがボージョレ幾つかだけを飲み比べて
「2,000-3,000円のワインってこんなもんなんだ、やっぱり輸入物のワインは高い割に大して美味しくないなあ。
ま、年に一度の話題で飲んでるだけだから別にいいか・・・」
と思ってしまい、ワインに対して残念な勘違いをしまったら悔しいな、ということです。
なぜなら、ボージョレ・ヌーボーは普通のワインと原価の構造がまるで違う、コストパフォーマンスに最大の弱点があるワイン、だからです。
ワインの輸入には、通常船便が使われます。
船便でワインを運ぶと、フランスから日本まで6~8週間ほどかかりますが、1本あたりの輸送コストは僅か数十円で済みます。
一方、航空便で運べば輸送期間は1日だけなので遥かに早いですが、コストは船便の何倍もかかります。
1本あたり数百円~数千円になることだってあります。
だからワイン商社は、おいしいワインを出来るだけ手頃な価格で提供するために、基本的には船便を使っているのです。
ですがボージョレ・ヌーボーはその年に収穫したブドウで仕込むワインをすぐに楽しむもの。
しかも「解禁日」という縛りがあるので、どうしても航空便で運んでくるしか無い訳です。
普段航空便をそれほど使わないワイン輸入商社がこの時期にだけ航空貨物のスペースを確保したがるので、航空会社は当然高めの運賃レートを出してきます。
でも、その通り払わなければ解禁に間に合わないので、輸入商社はそのコストを我慢して負担します。
その結果・・・フランス国内ではせいぜい300-500円程度で買えるボージョレ・ヌーボーが、
高い航空運賃を使って日本に持ってくると軽く6-7倍の2,000-3,000円になってしまいます。
船便で持ってくるワインは運賃や関税・酒税などを考慮してもせいぜい現地の店頭価格の2-3倍で収まることを考えれば、どれだけ割高かは明白でしょう。
それだけ、通常のワインとは原価の構造が全く異なるワインということです。
今、日本人が年間に消費するワインの本数は成人一人当たり4本と言われていますが、輸入本数から言えば、そのうちの1本は間違いなく「ボージョレ・ヌーボー」。
日本国内ではワイン業界最大のお祭りごとです。
売ろうと思えばいつもよりずっと多くワインが売れるこのタイミングに敢えて背を向けるというのも、ワイン屋としてはまあ勿体ない話ではあるのですが・・・
でもやはりここで、『払った金額の期待値を大きく超える、コストパフォーマンスの良いワインだけを選んで提案する』という約束事に例外を作りたくはないな、と思っています。
皆さんも、そろそろ航空会社に余計な運賃を払ってあげることをやめてみませんか??
その分で、もっとおいしいワインを、自分で探してみましょうよ。
それがFiradis WINE CLUBが提唱する「ボージョレ・ヌーボー卒業宣言」です!(^^)!
というわけで、、、Firadis WINE CLUBからは、
ボージョレ・ヌーボーと同程度の価格でもっともっとコストパフォーマンスが高い、
そしてこの時期にこそその深い旨味をじっくり楽しみたいワインをオススメしたいと思います。
・・・それはやっぱり「ピノ・ノワール」でしょう!!
≪CLUB30がプッシュする、3本のピノ・ノワール!!≫
①フィリップ・ジャノ ブルゴーニュ・ピノ・ノワール(仏ブルゴーニュ産)
Firadis WINE CLUBで現在ピノ・ノワール売上本数NO.1の人気ワイン。
②フランソワ・ダレン ブルゴーニュ・ピノ・ノワール(仏ブルゴーニュ産)
フランス国内の数多くの星付きレストランが掲載する実力派ドメーヌの1本。
繊細で上品な中に、しっかりとした背骨の存在を感じる本格派ブルゴーニュ。
③シャトー・アントニャック クロズリー・デ・リ ピノ・ノワール(仏ラングドック産)
果実味が豊かで渋みの少ない、最も飲みやすいスタイルのピノ。お料理に合わせやすいタイプです。
今年の秋は、旨味溢れるピノ・ノワールでクオリティの高いワインライフを過ごしましょう!!
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