ワインペアリング奮闘記 第180回 穏やかな時が流れるペアリング / カ・オロロジオ カラオーネ
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穏やかな時が流れるペアリング
今回のお題は、カ・オロロジオ カラオーネです。
産地はイタリア、ヴェネト州エウガネイ。品種はメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、バルベーラ。
ボルドーとほぼ同緯度にあたるこの地では17世紀からボルドー品種が栽培されて来たため、原産地呼称としてリリースが認められている珍しい場所です。生産者、カ・オロロジオの畑が位置するのは、雄大なコッリ・エウガネイ州立公園の中にあります。責任者マリア・ジョイア・ロゼリーニさんは、出来得る限りの自然なアプローチでこの美しい丘のテロワールをワインに映し出すことに情熱の全てを注いでいます。
テイスティング
黒みがかった赤。それなりに濃く、やや紫掛かっています。
香りはフレッシュなカシスがギュッと詰まったようで、シガーボックスやミントの香りもあります。
口当たりはスルッと軽快で、口に含むとフレッシュな酸味。
ミディアムとフルの中間くらいのボディですね。
中盤は果実の甘味が加わり、タンニンのシルキーな質感と、鉄っぽいミネラルの下支えもありストラクチャーを感じます。
後半は苦味をあまり感じず、綺麗な果実と軽いオークのフレーヴァが残ります。
ボルドー品種由来と思われる、軽いグリーンのヒントも感じました。
全体的に綺麗目で、エレガントな赤ワイン、という印象です。
フィルターをかけていないのにクリーンで、丁寧に澱引きをしているのでしょう。
全体として造りが丁寧なのが出来上がったワインから想像出来ます。
逆に「こうしてやろう」という気負いも感じない。どこか穏やかで自然な造りです。
人によってはハマるのではないかな。とても良いワインです!
合わせる料理『牛肉とキノコのリゾット』
料理に対する包容力がありそうな赤ワインで、プレッシャーを全然感じません。
まぁ、強すぎない上品なワインですから・・・料理も素材を生かしたもので強すぎず、というのがコツでしょうね。
カラオーネの綺麗な印象を損なわないように。
赤ワインだからってガッツリ系には向かわない方が吉でしょう。
今回はイタリアにありつつもボルドーとゆかりの深い赤ワインという点を考えて、イタリアをイメージしたキノコリゾットに、ボルドーをイメージしたステーキを添えた牛肉とキノコのリゾットとしました。
レシピ
材料に使う野菜の皮やヘタ、白ネギの青い部分やキノコの石突き等を30分ほど煮出し、塩で味を整えてあらかじめ野菜のブロードを作っておきます。
玉ねぎ、人参、ニンニク、ドライトマト全て微塵切りにしてオリーブオイルで炒めます。ソフリット的なものです。
キノコも塩胡椒して、炒めておきます。後半みりんと醤油を少し加えて照りと風味を出しました。
牛ヒレ肉は常温に戻しておいたものを、塩をして焼き付けます。側面も全て焼いて、中はお好みでレアに。
米をオリーブオイルで炒め、ソフリットとキノコを加え、熱いブロードを段階的に注ぎながら煮ていきます。
米がアルデンテになったらトリュフオイルを少し回しかけてリゾットは完成。
カットした牛肉と共に、皿に盛り付けて黒・ピンクのペッパー、イタリアンパセリで飾ります。
ペアリングレポート
【総合評価】 星4つ:★★★★☆
【評価ポイント】
○強い味わいのソースを使わず、根菜、キノコを用いたことでワインのナチュラルさを素直に楽しめた
○ブラックペッパーやピンクペッパーのスパイシーな要素もアクセントとして意外にワインと合っていた
ステーキも柔らかいので、しなやかな赤ワインに良く合いました。
一方が一方を凌駕しない、バランスの良いペアリングになっています。
エウガネイの歴史やテロワールに想いを馳せながら、ゆったりと時が流れるディナーになりました。
カラオーネは世界にはこういうワインがまだまだあるなら、ワインの未来は大丈夫だな・・・。
そんなふうに思わせてくれる、素敵なワインです!
(西岡)
今回のペアリングワイン:
今回のお題は、カ・オロロジオ カラオーネです。
産地はイタリア、ヴェネト州エウガネイ。品種はメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、バルベーラ。
カ・オロロジオの白ワインも販売しています。少し果皮を漬け込んでいて、ストラクチャと複雑味のある白ワインです。
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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