ワイン職人に聞く、10の質問【第43回】ファルケンシュタイン(イタリア トレンティーノ・アルト・アディジェ州ナトゥルノ)
- 2020.06.05
- ワイン職人に聞く、10の質問
- アメリカ, イタリア, ソーヴィニヨン・ブラン, テイスティング, テロワール, ピノ・ノワール, マリアージュ, 写真, 哲学, 樽, 熟成, 生産者, 白ワイン, 職人, 赤ワイン
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
第43回 ファルケンシュタイン(イタリア トレンティーノ・アルト・アディジェ州ナトゥルノ)
オーナー・醸造家 フランツ・プラッツナーさん(写真の男性)
『ワイン職人に聞く、10の質問』、
世界のワイン専門誌では「
勿論世界のリースリング生産者の中でも注目される有名人。
ワイン好きならば、
世界のワインラヴァーが絶賛する、
ファルケンシュタインのワイン造りには、どんな秘密があるのか・
今週もワイン職人への一問一答インタヴューを、
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒農学校を卒業して実家に戻ってきたとき、ワイン造りへの興味と情熱、そしてアイディアで一杯だったよ。それまで我が家はリンゴ栽培が家業でね・・・でも、私は自分のワインを造ってみたいと強く思っていたんだ。
ワインは小さな子供のようにデリケートで傷つきやすく、そして自由だ。だからブドウが育ってワインになるまでの間、私たちは辛抱強く、丁寧に寄り添わなくてはならない。順調な時も困難な時も、いつでも同じ時間を過ごしていく・・・そして、彼らがいずれ自分の足で立ち、新しい世界に旅立つ日がやってくる・・・そんな時を迎えるのが楽しくて、この仕事を続けているんだ。
そして、このワイン造りの仕事はもう次の世代に受け継ぐ準備が出来ている。私の2人の娘たち、マグダレーナとミカエラは、強い情熱を持って家族の伝統を受け継いでいきたいと言ってくれているんだ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒ワインの造り手として一番幸せを感じた瞬間か・・・・父と一緒に、私が初めて自分自身で手掛けたピノ・ネロをテイスティングした時だね。父がワインを飲んで笑顔になったのを見て、心から嬉しく思ったんだ。初めてひとつのワインを任せてもらえて、その結果に父が満足してくれた。駆け出しのワイン職人だった自分にとってまさに最高の瞬間だった。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒まず、ワイン生産者にとって一番難しいのが収穫のタイミングを見極めることだ。勿論、科学的に分析した数値を信頼することも出来るが、時には自分の感覚やセンスの方を信じるべき時もある。経験を積まなければ、その判断をすることは非常に困難だ。
そして・・・「いちばん辛いこと」は、一年間手塩にかけて「育ててきたブドウが自然のいたずらで一瞬にして台無しにされてしまう時。本当に、わずか数分で全てが失われてしまう・・・。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒私の祖父は「ワインはセラーで造るものではない、畑で造るものだ」といつも言っていた。この場所でないと生まれ得ないキャラクターが正しく反映されていることが、ワイン造りに置いて最も重要なポイントだと考えている。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒バランスが良く、何も損なわれていないワイン、だ。果実の印象、酸、ミネラル、全ての要素にズレが無いワインこそが理想だと思う。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒私が人生で最も感銘を受けたのはオーストリアのワインなんだ。特に『ヴァイングート・テーメン』の リード・ツィアーエック ソーヴィニヨン・ブラン1997年 は、今でも人生最高の1本だよ。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒4本のワインについてそれぞれ書かせてもらっても良いかな。
リースリング:新鮮な貝類を薦めたいな。そして日本の寿司、合わせてみたら素晴らしかった!
ピノ・ブラン:アスパラガスの料理や、豚や仔牛などの白身肉料理。
ソーヴィニヨン・ブラン:これもやっぱりアスパラガスが一番かな・・・そしてフレッシュなシーフード全般に、山羊乳のチーズ。勿論ソーヴィニヨンは日本の料理とも相性が良いと思う。
ピノ・ネロ:ラム肉やジビエ、そして熟成したチーズに合わせてみて欲しい。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒もしそんなチャンスを与えてもらえるのならば、アメリカのオレゴン州を選ぶだろうね。かの地のピノ・ノワールは特に素晴らしく、興味深いと思う。2018年にオレゴンを訪問したのだが、その土地とワイン、そして温かな人々に惚れ込んだよ。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒腹ペコの青虫が美しく彩られた蝶々になって飛び立っていくように、一見枯れたような老木から瑞々しく華やかな、味わい深いワインが生まれる・・・ワイン造りは、本当に素敵な仕事だよ。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒私たちはワインを飲んでくれる皆さんに、忘れられないような体験をして欲しいと強く思っている。ワインは私たちのファミリーの歴史や土地の文化、テロワールを語ってくれる。
たとえあなたがアルト・アディジェを訪れたことが無いとしても、ワインを飲めば雄大な山々に囲まれたこの美しい場所を思い描くことができると思う!
・・・フランツ・プラッツナーさんのインタヴューは以上です。
今週の『ワイン職人に聞く、10の質問』如何でしたか??
もしかしたらこれまでで最長???というくらいにたっぷり、
内容も訳していて非常に興味深く(
リースリングも今や世界中で栽培されるような品種となりました。
チリやオーストラリアの手軽で安いリースリングも沢山ありますが
日本人の味覚センスにジャストに共鳴するファルケンシュタインの
≪店長が「天ぷらに合うリースリング」
(イタリア/アルト・アディジェ産白ワイン ブドウ品種:リースリング100% 熟成:アカシアの大樽10か月熟成)
≪こちらもやっぱり天ぷらに合います!
(イタリア/アルト・アディジェ産白ワイン ブドウ品種:ソーヴィニヨン・ブラン100% 熟成:アカシアの大樽10か月熟成)
≪僅か2haの畑から生まれる、
(イタリア/アルト・アディジェ産赤ワイン ブドウ品種:ピノ・ネロ100% 熟成:バリック12か月熟成)
≪白い花を想わせるエレガントで華やかなアロマ・・
(イタリア/アルト・アディジェ産白ワイン ブドウ品種:ピノ・ビアンコ 100% 熟成:大樽10か月熟成)
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