ワインペアリング奮闘記 第50回「ボーデッカー・セラーズ」

  ワインペアリング奮闘記 の記事一覧
ワインペアリング奮闘記 第50回「ボーデッカー・セラーズ」

お料理パパのワインペアリング奮闘記第50回
ピノ・ノワールのWペアリングに挑戦

このコーナーは毎回課題のワインに合わせたお料理を実際に作ってレポートするコラムです。

コラムの性質上下記について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■うちの子に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品は不使用です。

さて、今回のお題は『ボーデッカー・セラーズ ピノ・ノワール ステュワート&アシーナ』です。

1つのワイナリーに基本となるキュヴェが2つ、珍しいですね。
ピノ・ノワール好きとしては、監督する人が違うことで、どれほど味わいに差が出るのか興味があります。
早速、それぞれのワインをじっくりとテイスティングしてみましょう。

ピノ・ノワール ステュワート
色調は中央に黒みがかった、落ち着きのあるガーネット。
香りは煮詰めたミックス・ベリー。そしてフローラルな要素や、ブラッド・オレンジのようなトーン高めの香りも感じます。
ローズマリー、黒胡椒等も感じられました。
外交的で華やかな印象です。
口当たりはとてもなめらか。果実味には凝縮感があり、赤系ベリーに加え黒系果実のよく熟した甘酸っぱさを感じます。
タンニンは、ややしっかり目ですね。
中盤から後半にかけて華やかなフレーヴァーが持続します。
熟した果実の中に、ピノ・ノワールらしいエレガントさや華やかさが感じられる、そんなワインです。

ピノ・ノワール アシーナ
色調はステュワートと大きく変わりません。よく見ると中央にかけてやや濃いでしょうか?
香りはより熟した黒系の果実、ダークチェリーやドライプルーンを感じます。
ステュワートに感じたお花や柑橘のような要素は殆ど感じません。
注意深く香りをとっていくと、グリーン・オリーブやクローヴなどの要素が感じられます。
より落ち着いて、静謐な印象です。
グラスをとって口に運ぶと、ドライプルーンのような、少し甘やかで厚みのある果実。
どっしりとしていますが、意外と親しみやすい印象です。
タンニンは軽く収斂します。ステュワートよりやや固めに感じました。
味わいもフレーヴァーも長く持続し、芯のしっかりとしたピノ・ノワールです。

では、この2本に合わせる料理を考えてみましょう。
本来であれば、料理も2品ご提案したいところですが、ウチも一般家庭なのでメインを2種も作るのは大変ですし、余ってしまいます。
というわけで、どちらにもしっかり合わせていけそうなベーシックな料理をチョイス。
合わせるソースをそれぞれ変えて、相性を見ていきたいと思います。
そこで選んだ料理は『ロースト・チキン』です!
ソースにはマスタード、そして煮詰めたバルサミコを用意します。

料理レシピ:
今回は低温調理器を使用しましたが、オーブンでもフライパンでも構いません。
部位は手羽元を使用しました。塩胡椒、ローズマリー、オレガノ、オリーブオイルで半日マリネ。
65度で3時間低温料理してから、フライパンで焼き目をつければ、完成です。
付け合わせのハッセルバックポテトは、程よく茹でたジャガイモに切れ込みを入れ、オリーブオイルとクレイジーソルトをかけてグリルで焼きました。
マスタードソースは、粒マスタードにマヨネーズとはちみつ少々を加えて混ぜます。
バルサミコソースは、バルサミコにはちみつ少々を加え、とろみが出るまで煮詰めます。

ピノ・ノワール ステュワートとのペアリング:
ピノ・ノワールと鶏肉の相性の良さは言うまでもありません!
淡白な鶏肉にじわっと染み込むようなピノ・ノワール、とても美味しいです。
料理に華を添えるような、ふわっとエレガントな香りが心地よく贅沢な気分になりました。
こちらの方がややトーンの高いワインなので、酸味の効いたのマスタードソースが合うかなとおもったのですが、意外にバルサミコソースの方が合っています。
料理のワインのバランスでは、鶏肉のボリューム感がワインに勝っていた印象です。

ピノ・ノワール アシーナとのペアリング:
こちらは煮詰めたバルサミコソースをたっぷりとつけて合わせると最高!という感じです。
果実の集中度やタンニンがより強い分、鶏肉の脂感にも負けずにしっかりとバランスが取れていました。
ベリー香やフローラルな要素が少なめで味わいの重心もやや低いので、ワインが主張しすぎず、料理を下から支え、合わさった時の満足度を引き上げるような役割になっていました。

総合結果:
あえて端的に言えば、華やかさを求めるならステュワート、味わいならアシーナです。
今回ペアリングとしての総合的な満足度では、アシーナが優っていたように思います。
ただ、軽いおつまみでワインだけを楽しむなら、私はステュワートを選ぶでしょう。

如何でしたか?
夫婦それぞれの作るピノ・ノワールは、驚くほど異なるスタイルを持っていました。
そこには絶対的な優越はなく、それぞれの理想とするピノ・ノワールのスタイルが表現されています。
一番のおすすめは、実際に比較していただくことでしょう。
そしてワインって面白いな、奥が深いんだなと感じていただけたら本当に嬉しいです。
それでは次回もお楽しみに!(西岡)

今回のペアリングワイン:

https://firadis.net/item/341.html

『ボーデッカー・セラーズ ピノ・ノワール ステュアート 2015年』
(USA / オレゴン州ウィラメット・ヴァレー産赤ワイン
ブドウ品種:ピノ・ノワール100% 熟成:フレンチオークのバリック18か月 最初の10か月は新樽20%)

https://firadis.net/item/524.html

『ボーデッカー・セラーズ ピノ・ノワール アシーナ 2015年』
(USA / オレゴン州ウィラメット・ヴァレー産赤ワイン
ブドウ品種:ピノ・ノワール100% 熟成:フレンチオークのバリック18か月 最初の10か月は新樽20%)

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
Translate »