ワインペアリング奮闘記 第132回 アンコウとゲヴュルツ・トラミネールの関係 / トラミン ゲヴュルツトラミネール 2020年
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『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第132回
アンコウとゲヴュルツ・トラミネールの関係
今回のペアリング課題は『トラミン ゲヴュルツトラミネール』です。ヴィンテージは2020年。ゲヴュルツトラミネールといえば白ワインきってのアロマティック品種ですが、このワインの産地であるイタリア、アルト・アディジェ州のトラミン村が原産地であると言われています。
テイスティング
色調は輝きのあるグリーンがかったイエロー。
グラスに注いだ瞬間から、とても香り高いです。
特徴的なライチの香り、その他に桃やメロン、カーネーションの花束や、白胡椒。
口当たりはトロッとしており、口に含むとごく僅かにしゅわっとした感覚があります。
アタックから柔らかく熟した果実の甘やかさを感じます。酸味は、クリーンで穏やかですね。
ミドルからアフターにかけては、若干のタンニンやミネラルのコクがあり、余韻は長めです。
全体として、紛うことなきゲヴュルツトラミネール!です。
ピュアで涼やかなイメージの中にも独特の華やかさ、甘やかさがあり、品種の個性を完璧に表現した白ワインだと思います。
これまでに何ヴィンテージか飲んできたが、個人的にはこの2020年は特に素晴らしい出来だと思います。
合わせる料理『あんこう鍋』
食材としては、基本は淡白なもので白身魚はその中心に来ると思います。
若干甘やかなアロマティック品種ということで、アジアン、エスニックが第一に思いつきましたが、フランス、アルザスなどではフォアグラと合わせることもあるとか。
というわけで、今回はジャパニーズ・フォアグラ・・・ではないですが、あん肝はどうでしょう。
せっかくなので他の部位も色々入ったあんこう鍋を作って、全体としての相性を検証してみたいと思います。
レシピ
あん肝は薄皮や筋を取り除き、塩と酒で下処理します。大部分は蒸しあげて鍋の具材にしますが、一部は細かく潰してフライパンで炒り、味噌と合わせて「肝味噌」に。スープのベースにします。
あんこうのアラと身は熱湯をかけ霜降りにして、滑りや汚れを流水でよく洗い流します。
具材の準備ができたら、後は普通の鍋料理とほぼ変わりません。肝味噌を解いたカツオ出汁で具材を煮て、仕上げにスライスした蒸しあん肝を載せれば完成。お好みでポン酢をつけて食べます。
ペアリングレポート
【総合評価】 星2つ:★★☆☆☆
【評価ポイント】
○あん肝ポン酢とゲヴュルツトラミネールは、両者癖はあるが喧嘩しない面白いマリアージュ
○やわらかい食感の白身との相性も上々。美味しくいただける。
×ぐにゅっとした皮や軟骨周りには流石のゲヴュルツも大苦戦。一体これにあうワインはあるのかという次元
あんこう鍋もうまいし、ワインも美味しいです。
でも、特にあんこうの特徴であるゴムっぽい食感、これにワインが合わない以上全体としてはおすすめできないですね。よって星2つです。
ただ、あん肝ポン酢単体で合わせるなら「アリ」でしょう。これはワインが好きな人なら、騙されたと思って試してみてください。
厳しい結果ですがなかなか面白い実験になりました。次回もお楽しみに!(西岡)
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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