ワインペアリング奮闘記 第184回 心まで豊かになる自然派ペアリング / ドメーヌ・デュ・ジョンシエ リラック イシ 2019年
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心まで豊かになる自然派ペアリング
今回のお題は、ドメーヌ・デュ・ジョンシエ リラック イシです。ヴィンテージは2019年。
産地はフランス、ローヌ地方。ワイン産地として名高いシャトーヌフ・デュ・パプから、ローヌ側を挟んだ対岸にあたるリラックという産地のワインです。品種はグルナッシュが主体。ドメーヌ・デュ・ジョンシエはビオディナミ農法を行っており、自然派とも形容される生産者ですね。
テイスティング
色調はルビー。濃さは中程度で澄んでいます。
香りは、抜栓直後は・・・ん?ちょっと還元的で閉じこもっているかな。
自然派らしいなー、なんて一括りにしてはいけませんがちょっと思ってしまいますね。
1時間ほど後で再び香りを取ってみると、随分開いた印象。うん、これなら大丈夫!
赤い小粒のベリーです。野性的でフレッシュですが、グルナッシュの甘やかさなフレーヴァのお陰かジャムっぽくも感じますね。
ブラックペッパーや小石のような硬質なミネラルの香りも。
口に含むと、ピュアな果実味のミドルボディ。
甘さは控えめで、酸味は豊か。ベリーのニュアンスがちょっとピノ・ノワール的です。
中盤のタンニンはそれなりにあります。口内にくっつくような感じ。
ミネラルの複雑味もありつつ、最後まで綺麗な果実のフレーヴァがすーっと続いて行く印象でした。
全体として、凝縮感を出すとかバランスを取るとか、そういった作為的な感じがあまりないですね。
そういった意味で自然派なんでしょうけど、丁寧さが伝わってくる綺麗な作りなので、自然派ブーム以前からのワイン好きも楽しめるワインになっていると思います。
開くのに少し時間がかかることだけ、留意していただければ。
合わせる料理『鶏肉の梅煮』
ミドルボディくらいなので、バランス的には鶏肉や鴨肉くらいが丁度良いと思います。
自然派ワインの飾らぬ良さに寄り添わせる料理・・・ということで、素朴な感じのある和食を合わせたいなと思いました。
「鶏肉の梅煮」です。
レシピ
【材料 2〜3人前】
鶏肉:300g
塩:小さじ1
酒:大さじ2
みりん:大さじ1
酢、醤油:小さじ2
梅干し:2個(1つは潰して)
砂糖:小さじ1
鶏肉に塩をして、皮目には竹串で細かい穴を開けておきます。
フライパンに皮目を下にして、時々ペーパーに余分な油を吸わせながら焼いていきます。
十分焼き色がついたらひっくり返し、全体として8割くらい火が通るように加熱します。
酒、みりん、砂糖、梅干し、醤油を加え、フライパンを傾けて、タレを絡ませるように煮ると良いです。
煮詰まった汁にとろみが出てきたら、スプーンで鶏肉にかけながら。照りが出て、ほとんどのタレが鶏肉に絡んだら完成です。
冷めても美味しく、冷蔵庫で2〜3日保ちます。一口大にスライスしてお召し上がりください。
ペアリングレポート
【総合評価】 星5つ:★★★★★
【評価ポイント】
ワインのすっきりとした酸味と、梅煮の甘酸っぱさがとてもよく合います。
鶏肉からぎゅっと染み出す旨味に、赤ワインの果実味とミネラルが重なることで、余韻長く楽しむことができました!
ローヌの大地の恵みそのままの自然派ワインにどこか素朴な日本の梅煮が心に染み入るような、土地の豊かさを感じるペアリングになりました。
今回のペアリングワイン:
今回のお題は、ドメーヌ・デュ・ジョンシエ リラック イシです。ヴィンテージは2019年。
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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