ワインペアリング奮闘記 第96回 セリエ・デ・ユルシュリーヌ サヴィニー・レ・ボーヌ × ビーフシチュー

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ワインペアリング奮闘記 第96回 セリエ・デ・ユルシュリーヌ サヴィニー・レ・ボーヌ × ビーフシチュー
『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第96回
セピア色の初恋ピノと、牛の煮込み
 
このコーナーは毎回課題のワインに合わせたお料理を実際に作ってレポートするコラムです。コラムの性質上下記について、ご容赦いただいております。
 
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■子供に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品不使用です。

今回のお題はセリエ・デ・ユルシュリーヌ サヴィニー・レ・ボーヌ 2007年』です。
フランス・ブルゴーニュ地方を訪れる多くの人が滞在する小さな街、ボーヌから、北西に4.5kmほど離れたエリア。生産されるワインの90%はピノ・ノワールの赤ワインです。
テイスティング:
14年熟成になりますが、コルクは弾力があって抜くのはさほど難しくありませんでした。
それでも少し柔らかめですのでご慎重に・・・。
大きめのブルゴーニュグラスに注ぐと、色調は明るいガーネット。エッジは琥珀色がかっており、一目で熟成が進んでいることがわかります。
抜栓直後から、香りは開いていました。苺やチェリーのリキュール、ドライフルーツ、ポプリ、シナモン、ピンクペッパー。キャラメル、枯れ葉、ダージリン。鉄。
奥行きと複雑味のある香りですが、どこかチャーミングで、素直に心地よいと感じられる香りです。
口に含むと、さらさらとした口当たりで、ピノらしく酸は豊かな印象です

熟成感はありますが、枯れた感じではなく果実が生きています。
中盤から、下に染み込んでくるようなじわじわとした旨味、熟成由来の甘味を感じます。
タンニンの木目は細かいですが、まだ硬さがありますか。
そこまで強くはないですがミネラルの下支えもあります。
飲み込んだ後は、ほんのりとした苦味と、果実のニュアンスがふわふわといつまでも漂うような余韻を感じます。

様々な表情が見え隠れして、テイスティング中は少し我を忘れてしまいました
神の雫的な表現をするなら、「このワインは、初恋の少女が写った、セピア色の写真さ・・・」
といった感じ(笑)。個人的には、好みにストライクな熟成ピノ・ノワールです。
抜栓直後、香りは十分開いている印象でしたが、味わいに少し硬さがあるようです。夕食までの数時間の間、静置しておきましょう。ディナーが楽しみですね!

合わせる料理:
うまみやコク、鉄分のニュアンスがあり、脂身の少ない赤身のお肉が合いそうです。
上品で繊細な印象のワインですから、焼き物よりも、ゼラチン質を含んだ煮込みが合うのではないでしょうか。

となると王道はやはり、赤ワインを使ったビーフ・シチュー等ですね。
ビーフ・シチューの元祖はブルゴーニュの郷土料理「ブッフ・ブルギニョン(牛肉のブルゴーニュ風)」とも言われており、ブルゴーニュワインとの相性は良いはず。
野菜と肉をじっくりと煮込むことで、熟成ワインのもつ複雑味の共鳴を狙いましょう。

レシピ:

煮込み用の牛スネ肉を使用。ブッフ・ブルギニョンを作ろうかなとも思ったのですが、以前リシャール・マニエールの回でご紹介しているので、今回はいわゆる洋食の定番的なビーフ・シチューにしたいと思います。ハインツのデミグラスソースを使い、基本缶にあるレシピ通りに作ります。レシピと違うところは赤ワインやや多め、煮込み時間長め、そして後半にブラウンマッシュルームを加えていることくらいです。

いわゆるひとつのビーフ・シチュー。
 

ペアリングレポート:
はい。これぞまさにビーフ・シチュー!になりましたね。
セリエ・デ・ユルシュリーヌ サヴィニー・レ・ボーヌ 2007年とのペアリングを検証していきましょう。
ビーフシチューは、とても美味しく仕上がりました。ただ当たり前ですが、想像の範囲内の味です(笑)。
残念だったのは、缶に書いてあるよりも長めに煮込んだにもかかわらず、お肉がまだ硬めだったこと。
さてさて、抜栓から数時間たったサヴィニーはどうなっているでしょうか。
ほほう・・・。不思議ですが、テイスティング時よりも、色調がやや濃くなったように見えます。
味ってみると、酸味は落ち浮いて全体のバランスがよくなり、近づきやすくなりました。
華やかな香りに、じわじわっと旨味が広がるこの感じ、このワイン、本当に美味しいなぁ・・・
両者食べ合わせてみると、とろっと柔らかさのあるシチューのテクスチャに、熟成ブルゴーニュの相性はとても良いですね。特にブラウンマッシュルームの深みのある味わいは、このワインとの相性の良さを感じます。
ちょっと硬く仕上がってしまった肉ですが、もっとほろほろ、プルプルになっていたらさらに良いペアリングになったでしょう。次回は牛すじにしようかな?
それにしても、重量感のあるこの肉に対して、色調明るめのこのワインが意外に頑張っていました。
驚いたことに、存在感でいえばワインのほうが勝っているくらいでした。
ワインの品質が想像を上回っていて、普通のビーフ・シチューの相手はちょっと役不足という感じです。
この魅力的なサヴィニーにビーフシチューを合わせるなら、赤ワインを丸々一本使って前日から作り始めるくらいの手間はあっても良かったのかもしれません。

繊細かつチャーミングさのある果実味のセリエ・デ・ユルシュリーヌ サヴィニー・レ・ボーヌ、状態も良く、私にとっては掘り出し物でした。在庫少ないようですが、売れ残ったら買ってしまうかも・・・。
皆さん、私に在庫処分される前に、お買い求めはお早めに(笑)。
それでは、次回もお楽しみに!

(西岡)
 

今回のペアリングワイン:
セリエ・デ・ユルシュリーヌ サヴィニー・レ・ボーヌ 2007年

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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