ワイン職人に聞く、10の質問【第28回】ヴェスリ(オーストリア・カンプタル地方)
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
第28回 ヴェスリ(オーストリア・カンプタル地方) /オーナー デイヴィス・ヴェスリさん
IT企業の経営者からワイン職人に転身した、創意工夫に溢れるアイディアマンの彼。
どんなきっかけで、ワイン造りの道に足を踏み出したのか・・・僕自身とても興味がありました!
それでは今週のインタヴュー、お楽しみください。
【ヴェスリ オーナー・醸造過家 デイヴィス・ヴェスリさんへの一問一答インタヴュー】
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒僕は以前ワイン造りとは全く違うビジネスに携わっていたのだけど(*訳注 IT系の会社経営だそうです)、会食の機会などで沢山の素晴らしいワインに出会い、その虜になっていったんだ。
特に、長い時間をかけて熟成したワインの素晴らしさには、鼓動が早くなるくらいだったよ 笑
そして同時に、僕はオフィスに籠っているよりも、自然の中で働く人生を望んでいた。
だから、この美しいカンプタルという土地でワインを造ることを選んだことについて、僕の人生においてこれ以上の正しい道は無かった、と思っているよ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒ワイン造りの中に素晴らしい瞬間は幾つもある。でもその中でも絶対的に特別なのは収穫の時だ。
その年最初のひと房を摘み取り、一粒目のブドウを口に含む・・・その瞬間にこのブドウを使ってどんなワインを仕込もうか、というアイディアが溢れ出る。それが一番幸せな時かな。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒僕たちは、人間ではなく自然が100%の全てを支配する世界で仕事をしているわけだが・・・毎日それを痛切に感じるね。
ワイン造りは大半の時間が楽しくハッピーなのだけど、いつでも自然が引き起こす最悪のシナリオを思い描いていなければならないんだ。
例えば、遅霜や雹なほんの数分でそれまでの努力を全て台無しにしてしまうのだけど、それすらも常に想定し、どうやったら防衛できるかを考えていなければならない。いつもそうやって樹を貼っていなければならないのが一番大変なことかな。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒それはとてもシンプルだね・・・ただひたすらに畑でブドウと触れ合い、ブドウの言葉を聞くことだ。土や樹は、我々ワインの造り手が必要とすることを全てか語ってくれている。それを正しく捉えるためには、出来るだけ多くの作業を自らの手で行い、畑と正しいコミュニケーションをすることだ。
自分の経験から言って、自分が自然に対して余計な介入をしないほど、良いワインが出来る。ワインにも人格や人生があって、僕たちと同じようにいい日もあれば悪い日もある。我々は自分のワインを信じ、忍耐強く待たなければならない時間こそが、偉大なワインを創り出す最高の道具なんだよ。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒理想のワインは「その時自分が開けたいと思うワイン」。 人の味覚がそれぞれ異なるように、時と場所によって飲みたいワインも違うだろう?
今日のランチで素晴らしくおいしく楽しんだワインが、明日のディナーでも一番ふさわしいワインでは無い、ということだよ 笑
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒人生の中で沢山の偉大なワインに出会ってきたから、1本選ぶというのはかなり難しいね!
でももしどうしても1本・・というなら、長期熟成させたオールドヴィンテージのグリューナー・フェルトリーナーを始めて飲んだときのもの。このブドウ品種にここまでの長期熟成ポテンシャルがあるのか、と大いに感銘を受けてね。忘れられないワイン体験になった。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒決してお世辞じゃなく、僕は日本の料理こそが自分のワインに最も合うと思っているんだ。
新鮮な食材そのものを生かした丁寧な日本料理を楽しむのは、何度体験しても感動するよ。
自分の造るワインも、いつでもフレッシュでピュア、クリアなスタイルでありたい。
それが、グリューナーで素晴らしいワインを造る本質だと思う。
だから素晴らしい日本の料理と自分のワインを合わせることが、僕の一番大好きなペアリングだよ!
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒僕は人生の中で一度ワイナリーを立ち上げたから、もしもう一度別の地域でワイン造りを始めるとなったら、もう1回の人生が必要だな 笑
でも、もしその機会がもう一度もらえるとしたら・・・それでも僕は迷うことなくここオーストリアのカンプタルでグリューナーを育てると思う。僕はこのブドウを本当に愛しているし、 この産地で仕事をすることに人生を捧げたいと思っている。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒自分が心からやりたいようにワインを造って、どっしりと構えて待っていること。時はいつでも、偉大なワインを造ることに味方してくれるものだよ。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒フルーティで少しだけスパイシーなグリューナーは、本当に様々な料理と合わせやすいワイン。若くフレッシュなタイプ、熟成したタイプなどさまざまなワインを飲んで、自分の好みの料理に合うワインを探して欲しいな。それは好奇心をくすぐられるような食体験で、グリューナー・フェルトリーナーの多様性にきっと魅了されると思う。
そしてもしオーストリアに来る機会があったら、僕のワイナリーを是非訪れて欲しい。ウィーンから車で1時間くらいと、それほど遠くないから。日本からのお客さんを迎えられることを、心から楽しみにしているよ!
デイヴィスさんのインタヴューは以上です。今週の『
それでは最後に、デイヴィス・
≪フルーツ感豊かで綺麗な造りのグリューナー≫
・ブドウ品種:グリューナー・フェルトリーナー種100%
・熟成:ステンレスタンク6ヶ月熟成
・オーストリア カンプタル産 白ワイン
・ブドウ品種:グリューナー・フェルトリーナー種100%
・熟成:ステンレスタンク6ヶ月熟成)
≪最もストラクチュアのしっかりしたグリューナー、4年の熟成を経てどう変化しているでしょうか?≫
・オーストリア カンプタル産 白ワイン
・ブドウ品種:グリューナー・フェルトリーナー種100%
・熟成:ステンレスタンク50%&大樽50% 18-19ヶ月
≪ヴェスリ上級レンジ=プルミエ・クリュクラスから1本ご紹介。スパイシー&ミネラル感のグリューナー。≫
・オーストリア カンプタル産 白ワイン
・ブドウ品種:グリューナー・フェルトリーナー種100%
・熟成:ステンレスタンク(1/3)&大樽(2/3)15-
-
前の記事
ワイン職人に聞く、10の質問【第27回】バレンシソ(スペイン・リオハ地方) 2020.03.01
-
次の記事
ワイン職人に聞く、10の質問【第29回】ドメーヌ・コルディエ(フランス・ブルゴーニュ地方) 2020.03.13