ワインペアリング奮闘記 第125回 牛すじ煮込みと赤ワインの相性 / レッチャイア・カベルネ・ソーヴィニヨン
- 2021.12.17
- ワインペアリング奮闘記
- カベルネ・ソーヴィニヨン, すじ肉, テンプラニーリョ, トスカーナ, どて煮, ペアリング, マリアージュ, レッチャイア, 星3つ, 煮込み, 牛肉, 赤ワイン
目次
『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第125回
牛すじ煮込みと赤ワインの相性を検証!
今回の課題は『レッチャイア カベルネ・ソーヴィニヨン』
イタリアの赤ワイン中心地、トスカーナ州の赤ワイン。生産者であるレッチャイアは、フィラディスのお客様から定番的に人気のあるワイナリーですね。品種はカベルネ・ソーヴィニヨン100%です。
テイスティング
グラスに注ぐと、色調は黒みを帯びたガーネット。透明感があり、濃さは中程度です。
香りは熟したカシスやラズベリーなど、色とりどりの熟したベリー。チェリーのリキュール。
そしてシナモンやアニスなど茶系スパイス、鉄、乾いた土。どこか牧歌的な甘い香りですね。
スワリングしていくと徐々にレザーの要素も顔を出し、香りからも熟成を感じます。
口に含むとスムースなテクスチャで、するすると流れ込んで来ます。
熟した果実の甘味を豊かに感じつつ、追いかけてくる酸味も豊かで爽やかな印象。
ただ飲み込むとアルコールのボリューム感もしっかりしており、飲み応えがありますね。
タンニンも豊かですが、よく溶け込んでおりいい感じに角が取れています。
ミドルからは熟成由来の甘みや、じわじわと広がるような旨味を感じます。
アフターには鉄っぽいミネラル感、シガーやタールの苦味と枯れ葉のようなフレーヴァを感じました。
全体として熟成による複雑味、そしてまだまだ生きている果実味が美味しいポイントでバランスしており、とても飲みやすいです。
まさに今、飲み頃ではないでしょうか。通好みに寄りすぎず、かといって単純なワインでもない、とても使いやすくて美味しいワインだと思います。
合わせる料理『牛すじ煮込み(どて煮)』
トスカーナのカベルネ・ソーヴィニヨン100%赤ワインということで、フレッシュなタイプであればステーキでも合わせたいところですが、今回テイスティングで感じた熟成感、穏やかさを加味すると、むしろ柔らかい煮込みが合いそうでした。
師走の寒い季節ですし、今夜はほっこりと。赤味噌仕立ての牛すじ煮込みを作ることにしました。
レシピ
牛すじ肉の下処理から。水から茹でると灰汁が大量に出てきますので、茹でこぼして流水で綺麗に洗います。
一口大にカットして、長ネギの青い部分、生姜スライス、黒胡椒3粒程と共に、4時間ほど煮込みます。
すじ肉が十分柔らかくなったら、ちぎった蒟蒻、酒、みりん、醤油、赤味噌を加え、更に煮詰めていきましょう。
程よく汁気が飛んだら、薬味を添えて出来上がりです。
ペアリングレポート
【総合評価】 星3つ:★★★☆☆ 牛すじのねっとり感をなめていた!
【評価ポイント】
○赤味噌と牛肉の深い旨味と、赤ワインの熟成による旨味がお互いを引き立て合う
○鼻に抜ける生姜やネギとの相性の良さを感じる
△赤ワインの豊かな酸味の相手をする要素が料理になく、行き場を失う印象
△舌に張り付くような牛すじの粘りの強いテクスチャに対し、レッチャイア・カベルネ・ソーヴィニヨンのサラッとしたテクスチャ、穏やかなタンニンでは、対抗できず・・・
うーん、残念ながらまぁまぁのペアリングですね。今回は牛すじのゼラチン質をなめていましたね。これに対抗できる赤ワインとなると、もっと収斂性のあるタンニンがあったほうが良いですね。また赤ワインの酸味を目立って感じてしまう味わいの組み合わせにも、課題を感じました。
今回の教訓を経て、次回レッチャイア・カベルネ・ソーヴィニヨンと試してみたいペアリングは牛スネ肉の赤ワイン煮。赤ワインの酸と、スネ肉のあっさりとした食感でリベンジを果たしたいと思います!皆様も是非、お試しください。
それでは、次回もお楽しみに!(西岡)
今回のペアリングワイン
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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