ワインペアリング奮闘記 第26回「ジャコモ・グリマルディ バローロ」
- 2020.01.14
- ワインペアリング奮闘記
- イタリア, ジャコモ・グリマルディ, バローロ, ペアリング, マリアージュ, レシピ, 肉料理, 赤ワイン
『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第26回
記念日に最適!バローロでゴージャスなペアリング
このコーナーは毎回課題のワインに合わせたお料理を実際に作ってレポートするコラムです。コラムの性質上下記について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■うちの子に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品が使えません。今回の
今回は言わずと知れたイタリアを代表するワインの王様、バローロです!
グラスに注ぐと、やや明るめのガーネット。少し熟成の気配を感じさせる色調ですね。
一方、香りはまだまだフレッシュ感のある野生の赤系果実から、ダークチェリーまで。鉄分や土、なめし皮のようなヒントも感じられます。
口に含むとキイチゴを摘んで食べた時のような、きゅっと口を引き締める瑞々しい酸味、そして収れん性のある強めのタンニンを感じました。明るめの色調からイメージするより、骨格のしっかりとしたワインです。
ただ、抜栓直後の印象はやや堅め。というわけで数時間静置した後にさらにテイスティングをしました。空気に触れることで、果実の熟度が増した印象です。
さらにバラの香り、シナモンやチョコレートのようなニュアンスも出て、大変香しいです。
タンニンの角も少し取れ、ヴィンテージ相応の落ち着きが出たように感じました。
心地よくエレガントなアロマと旨味が長い続いていく印象。
うーん、ファンタスティコ!高い品質とポテンシャルを感じる赤ワインです。
さて。合わせるお料理です。
ワインの格を考えれば、普段の家庭料理と言うよりは、ちょっと凝ったものを用意したいですよね。
そして、タンニンの質感や強さを考えると当然、ある程度食べ応えのあるお肉でしょう。
ただ、この複雑味やブルゴーニュのピノ・ノワールにも通じるようなエレガンスをうまく生かせる料理って一体どんなものでしょうか?これは、なかなか難しそうですね。
しかも、メルマガの前置きで「焼いただけのはダメ」とか「ペアリングのカギは郷土料理に」と書いてあるじゃないですか。(※前置きは前もって原稿が出来ている)
これって郷土料理を踏まえた上で作れってことですよね。
すみません、店長、ちょっとハードルが高すぎませんか・・・?
というわけで、数日前から「すごく」頭を悩ませていた私は、たまたまオフィスですれ違ったフィラディスのイタリアン営業松本氏を捕まえて、助けを求めました。
すると、「キノコのリゾットなんかも良いけど、王道はブラサートでしょうね!」とのこと!
ブラサート!?詳しく伺うと、要するに塊肉を赤ワインで煮込んだもののようです。
地元ピエモンテでは、贅沢にバローロを使って煮込むブラサート・アル・バローロが名物であるとか。
これは渡りに船!と言うわけで、国内から海外までのレシピを検索して、そのブラサートを作ってみることにしました!
作り方:
国産牛のほほ肉を1キロ用意。(煮込み用の肉なら何でもOK)
これを次の材料を合わせたマリネ液に1晩以上漬け込みます。
・赤ワイン500ml程(バローロは無理なので安めの赤ワイン使用)
・セロリ、ニンジン、玉ねぎを細かく切ったもの
・クローブ一片、粒黒コショウ数粒
お肉を取り出してキッチンペーパーで汁気をぬぐい、オリーブオイルを熱したお鍋でざっと焼き目を付けます。
マリネ液も注ぎ入れ、塩を加えて中弱火で3時間以上コトコト煮込みます。
煮あがったら煮汁をミキサーにかけてソースにします。
付け合わせはポレンタというトウモロコシ粉を練ったようなものが定番だそうですが、味の想像がつかないのでマッシュポテトにしました。
お皿にマッシュポテトとお肉を盛り付け、ソースを流しかければ出来上がり!
実食:
赤ワインが染み込んで、色濃く煮あがっているほほ肉、そして濃厚なソース。
これは、物凄く美味しそうですね。
塊肉にナイフを入れてみると、柔らかい!すっとナイフが通って、切り口が深いピンク色に輝いて見えます。食べてみると、どこまでもソフトで、ソースにつけて食べると・・・物凄く旨いです!!
さて、隣で華やかな香りを放っているジャコモ・グリマルディ バローロ。
もう成功の予感しかしませんが、いただきましょう!いやー・・・おいしいですねー。
もう、言葉が浮かんでこないです。笑
大きめにスライスした塊肉が、バローロのタンニンを、ほほ肉のゼラチン質が強めの酸をやさしく受け止めています。そしてポイントは、このソースのコクでしょう!
数種の野菜と、赤ワイン、スパイスが幾重にもなる複雑な味わい。その要素一つ一つに、同じく様々な香りや味わいの要素を持つこのバローロが共鳴しているようです。「複雑味と複雑味」の素晴らしい同調を見せてくれました。
やはり、良いワインは料理の美味しさを引き出してくれますし、その逆も然り! そんなことを再確認させられるような、幸せなマリアージュでした。
付け合わせのマッシュポテトも、美味しいソースを最後まで楽しむのにぴったりです。
いかがでしたか? 私は何をおいてもバローロのペアリングを何とかクリアできたことにほっとしましたが、あまりお肉を食べない7歳の息子も「柔らかくて美味しい!」とブラサートを沢山食べてくれてとても嬉しかったです。
クリスマスはローストビーフを作っていたのですが、今年はブラサートにしようかな?と思っています。皆様も如何でしょうか?
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