『ワインの値段』は、どう決まる?②高いワイン、安いワインの差はどこから?
- 2019.06.10
- なるほどのあるワインコラム
- 5大シャトー, イタリア, オーパス・ワン, コルク, スパークリングワイン, スペイン, ボージョレ・ヌーボー, ラベル, ロマネ・コンティ, 亜硫酸塩, 価格, 値段, 生産者, 輸入, 輸送, 香り
前回からは、「ワインの値段」というちょっと現実的なところに着目してコラムをお届けしています。
香り表現や歴史のエピソードなど、
ワインについての話は少しロマンティックで抒情的な内容になることが多いのですが、こちらはとにかく現実的。
でも、ワイン愛好家にとってはもっとも身近で切実なテーマですよね。
第1回はこのシリーズのプロローグとして、ワインの価格、特に5大シャトーやオーパス・ワンなど
有名なワインの価格がここ20年ほどで大きく変化した、という内容をお届け致しました。
ここからは、ワインの価格という話題になると特に疑問・ご質問の多いこの問題について。
『すごく高いワインと安いワイン、その値段の差は一体どこから来るの???』
という誰もが不思議に思うことからお話ししていこうと思います。
ここ日本で、ネットや店頭で皆さんが購入することの出来る「輸入ワイン」。
最安値はそれこそ税込で300円台(!)くらいから、
最高値はおそらく天井知らずの何百万円台まであります。300万円のワインだって、存在します。
つまりその価格差は1万倍・・・・!?
同じ1本のワインで、ここまで価格に差が出る理由は、一体何なのか、。
誤解を承知で断言してしまいますが、
1本のワインを造る為に必要な原料のコストだけで言ったら、300円のワインも300万円のワインも、
そんなに大きな差はないのです。
300円のワインの原材料代が200円で、300万円のワインの原材料は200万円・・・そんな筈はないですよね。
一つ一つ、整理していきましょう。
ワインを造ってお客さまに届けるために、必ず必要な原料・パッケージ資材にはこんなものがあります。
・原料ブドウ
・酵母
・その他の添加物(亜硫酸塩その他)
・コルク栓やスクリューキャップ、スパークリングワインならミュズレ(=留め金)
・ガラス瓶または箱(中に袋入りのワインが梱包されている“バッグ・イン・ボックス”)
・ラベル(表、裏、首で3箇所分程度)
・キャップシール(アルミ製、プラスティック製、蝋、その他)
・段ボール箱/木箱 封印用のテープ
くらいのものです。
この中でワインの価格に何倍、何十倍もの大きな影響を与えそうなもの・・・さて、どれでしょう??
まず、「ほとんど違いを生まないもの」から考えていきましょう。
ガラス瓶やコルク、段ボールなどのパッケージは、確かにより良い品質のものを選ぶこともできます。
例えば、誰もが認識しやすいのはコルクですよね。
コルク栓の短いものは3cm程度、長いものは6cm程度。当然、長いものほど高額になります。
これについては別の機会に単独でコラム化しようと思いますが、
プラスティック製の樹脂コルクや、コルクの細かい屑を溶かして合成したコルク(網目模様のものです)は、
天然のコルク樹脂を使ったものよりもずっと安価に入手できます。
そして、ガラス瓶。これも瓶の厚さやデザインによってお値段に多少の差は出て来ますが、
非常に薄く造った軽量瓶(航空輸送費が重量ベースのボージョレ・ヌーボーに使われます)、
ワインを高そうに見せるためのやたらと重い瓶(イタリア&スペイン、多いです 笑)
が若干高くなる程度で、それだって大した違いはありません。
中には、ガラスを加工して紋章や生産者ロゴを浮き彫りのようにしているボトルもあり、
これは確かに高級ボトルではありますが、それでも何千円もするわけではありません。
次に、ラベルやキャップシールですね。
デザインなどに凝って、有名デザイナーなどにお願いをすればそれは大きなコストになりますが、
普通のラベルやキャップシールなら、1枚当たり数円の差しか出ません。
シャトー・ムートンのような毎年ラベルデザインの変わる生産者を除けば、
毎年同じデザインのラベルにヴィンテージの数字4ケタを印字するだけですから、
デザインのコストも数年、数十年単位×数万本の単位で割る訳ですから、コストとしては小さい。
例えば『ロマネ・コンティ』のラベルデザインなんて、すごくシンプルですよね。
色数も少ないし、ラベルの紙質だってずば抜けて良い、というものではないと思います。
ですから、ここで価格差が生まれることはほとんどありません。
そして、段ボール箱・・・ここは触れるまでもありませんが、
段ボールならどんなデザインに凝ったきれいなカートンでも100~200円程度だと思います。
木箱は完全に別物ですのでかなり高いですが、それでもせいぜい1,000~1,500円程度では・・・。
と、ここで今回の字数が尽きてしまいました!
申し訳ありません、殆ど書ききれていないですがこの続きはまた次週公開のコラムで。
今回は「ワインは外身の値段はどれも大して変わらないんだ」ということをまずはご理解戴けたらと思います。
では、一体どうやって価格の違いが発生してくるのか・・・??
【当店のおすすめワイン】
シャトー・ペトリュスやシャトー・ル・パンなど高級ワインの銘醸地であるボルドー・ポムロールから、ワインの価格差を味わう2本をワイン専門商社フィラディスの直販ショップ Firadis WINE CLUBがご紹介。まず、とにかく良く出来たポムロール優等生シャトー・ラ・ローズ・モンヴィエル ポムロール は、ワインの中にきめ細かく溶け込んだ滑らかタッチのタンニンや素晴らしく密度の濃い果実味を楽しめる1本。次に、シャトー・クリネ ポムロール はワイン・アドヴォケイト、ワイン・スペクテイターヴィノスより90点以上の高評価を獲得し、トップ・シャトー渾身の1本。
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