ワインペアリング奮闘記 第178回 レトロな洋食メニューにおすすめ! / シャトー・ロラン オー・メドック・クリュ・ブルジョワ 2015年
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レトロな洋食メニューにおすすめ!
今回のお題は、シャトー・ロラン オー・メドック・クリュ・ブルジョワです。試飲時のヴィンテージは2015年。
フランス・ボルドー、オーメドックの赤ワイン。メルロとカベルネ・ソーヴィニヨンがほぼ半々で、プティ・ヴェルドが2%です。
テイスティング
色調は中央は黒みを帯びたレッド、エッジに向かってややパープルがかっています。
香りは赤〜黒の小粒のベリー類のミックス、八角などの茶系スパイス、そしてレザー。少し乾いたニュアンスです。
口に含むと、優しい甘味、ふくよかな果実味を感じます。酸味はやや控えめですね。
ミドルから、舌に染み込むようなじわじわっとした旨味。タンニンは穏やかでシルキーです。
アフターにかけて、鉄っぽいフレーヴァや、シナモン。
全体として、熟した甘味と地味深さが印象に残りました。
カベルネ・ソーヴィニヨンのかっちりとした印象よりも、メルロのふくよかさ、穏やかさが前に出ているようです。
試飲時点(2023年1月)の段階では、果実味のピークを少し過ぎて、熟成段階に差し掛かって来ているようです。
ボトルの底にほんの少し澱と酒石も見られましたので、飲む前に縦置きで静置しておいてくださいね。
合わせる料理『ハヤシライス』
テイスティングの印象から柔らかい肉料理が合いそうです。
ですので今回は、牛薄切り肉を使うことを前提に料理を考えてみました。
地味深さがあるので、野菜などと一緒に煮込んだようなものが良いかもしれません。
というわけで、私が今回選んだのはハヤシライスです。久しぶりに食べるなぁ・・。
では早速作っていきましょう!
レシピ
ソフリットを作ります。
みじん切りにした玉ねぎ、にんじん、セロリを、多めのオリーブオイルでじわじわと。
蓋をして小一時間、時々混ぜながら炒めます。これくらいの状態まで。
黒っぽいのは見えないくらい小さくみじん切りにしたブラウンマッシュルームを途中で入れたからです。
キノコ嫌いの子供に食べさせる為なんですが、ペアリング的にも良いかも。
ここに赤ワインとトマト缶、デミグラス缶を加え、軽く煮詰めるように全体を混ぜ合わせます。
別のフライパンで塩胡椒した牛肉薄切り、玉ねぎのくし切り、マッシュルームを強火でざっと炒めて、醤油で風味づけしてからデミグラスソースに加えます。牛肉は炒めすぎないように、玉ねぎも歯応えを残しておくのがポイントです。
全て火が通っているので、軽く煮詰合わせれば出来上がりです。
必要であればお湯を加え程よい水加減に調整したり、味が薄ければ醤油等を加えて調整しましょう。
あれば最後に、トリュフオイルをひとたらしするとぐっと香りが立ってきます。
ハヤシライスは日本生まれの洋食なので、醤油の風味があった方が「らしく」なります。
ご飯はサフランライスを炊いておきました。たっぷり具をかけて出来上がりです!
ペアリングレポート
【総合評価】 星5つ:★★★★★
【評価ポイント】
○柔らかい薄切り肉とごはんにテクスチャの柔らかいワインが相乗
○煮込んだソフリットと軽く熟成したメルロの優しい甘みの相乗
○キノコと、焼いた玉ねぎの風味がワインの熟成フレーヴァに寄り添っている
美味い!このハヤシライスは過去イチかも・・・!
と思ったのですが、よくよく考えてみればテクスチャに丸みのあるシャトー・ロランが寄り添ってくれることで、全体の満足感が引き上げられた結果でした。
作る前からまぁ無難な組み合わせだろうとは思っていましたが、ここまで相性が良いとは。
マリアージュと呼んで全く差し支えないと思います。
この組み合わせ、皆さんも是非お試しくださいね。
(西岡)
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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