コンビニ惣菜ペアリング道 第24回「『角上魚類』で美味しいマグロを買ってきて、赤ワインと合わせてみました。」
- 2021.12.27
- コンビニ惣菜ペアリング道
「忘れちまったか、そうだよ俺だよ、マリアージュ師匠だよ。」
コラムシリーズ「コンビニ惣菜ペアリング道」、第24回です!
コンビニ、スーパー、デパ地下などのお店で売っている市販のおつまみ・レトルト食品などで何の手間もかけずに色々なワインペアリングを楽しんじゃおう!というちょっとズボラなペアリングチャレンジ企画です。
目次
「コンビニ惣菜ペアリング道」とは?
それではまず、今回初めてこのシリーズを目にされた方にまずご説明しておきますね。コラムのタイトルは「コンビニ惣菜ペアリング道」とはしているものの、基本は「お手軽に手に入る、調理しなくて良いおつまみ」をペアリングチャレンジのテーマにしています。これまで23回分の記事はすべてアーカイブ掲載してありますので、是非これまでのチャレンジ結果も見てみてください。
これまでのシリーズアーカイブはこちらから!B級グルメとのペアリングも色々やっております。
↓↓↓
https://firadis.net/column/category/souzai-pairing/
それでは続いて今回第24回のコラムテーマを発表!
鮪の刺身に合う赤ワインは、どのタイプか?
前回に引き続き「食べるものは決まっていて、それにはどんなワインを一番合うのか?」を検証していくスタイルの実験です。
選んだテーマは「鮪の刺身 赤身&中トロ」!
このコラムの公開が2021年12月27日とお正月も目前のタイミングでしたので、お正月の食卓で皆さんが召し上がることの多い鮪を選んでみました。おせち料理の中から…という案もあったのですが、年に1回しか食べないようなものよりも、お正月を含めてちょっと贅沢なお食事、皆が集まる時の食卓に上りやすいものを選ぶことにしました。
そして今回鮪を調達したのは、「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」など最近メディア等で取り上げられることも多い注目の鮮魚小売りチェーン『角上魚類(かくじょうぎょるい)』さん。新潟に本社を構え、関東~長野などに続々店舗を拡大中のようです。お店を訪れると、鮮魚売場は人でいっぱい(*勿論、入店時の全員検温や手指消毒などが徹底されていました)、お刺身も良さそうな部位は冷蔵ケースに置かれるたびに奪い合いの様相でしたが、なんとか美味しそうなパックを2つ確保することが出来ました。
それでは早速家に帰って、マリアージュ実験開始です!
今回は、赤身&中トロの2部位×2種類の醤油でマリアージュを検証しました。
今回『角上魚類』さんで買ってきたのは、本鮪の赤身と中トロ。さすがの専門店、鮪だけでも様々な種類を置いていましたが、やはり今回は王道の味わいで合わせるために本鮪をチョイス。赤身はモロッコ産、中トロはスペイン産でした。普通に何もつけずに食べても旨みがたっぷりの実に上質なお刺身でした。その割に角上さんはとても値付けが良心的。個人的な話ですが、角上さんを知って以来我が家はもう魚介類はここでしか買わないくらいになりました。
そして、そこに合わせるお醤油は2種類を用意。こちらは皆さんが後日お試しされることも考えまして、どこのスーパーマーケットでも売っている定番品を選びました。キッコーマンの『特選丸大豆醬油』(アメリカ産大豆、小麦、食塩で造ったやや塩気の強いタイプ)と、『超特選おさしみ二段熟成生しょうゆ』(同じ原料に、醸造アルコールが加えられているタイプ。やや甘みととろみのある味わいのお醤油です)です。
それでは、早速実食に移りましょう!
赤ワイン、ブドウ品種3種で計4本を用意していよいよペアリング実験開始です。
今回は鮪の刺身に「赤ワインを合わせる」をテーマに設定。これまでにワインのご紹介ページ等で何度も「このワインには鮪や鰹の刺身」などのお薦めをしてきました通り、赤身の魚には絶対にシャンパーニュや白ワインよりも赤ワインのほうが合うというのが僕の持論です。
今回は、そんな赤ワインの中でも特に鮪との相性が良いと思うブドウ品種3つに絞り、醤油2種類との掛け合わせでペアリング試食。1本のワインにつき4つの組み合わせを検証し、合計16通りの中からベスト・ペアリングを探していくという実験にしました。
本当は出汁醤油等・たまり醤油なども数種加え、更には山葵や大葉などの薬味も組み合わせて100通りくらいやってみたかったのですが、何分僕一人の胃袋と肝臓ですので今回は断念。これらは鮪マリアージュSTEP-2、STEP-3として今後のネタに取っておこうと思います。
それでは、今回用意した4本の赤ワインをご紹介しましょう。
1. カベルネ・ソーヴィニヨン(スペイン産カベルネ・ソーヴィニヨン100%、4か月の樽熟成を実施。力強く濃厚な王道カベルネ)
2.ピノ・ノワール①(ドイツの冷涼地域産、クリアで軽めだが旨みはたっぷりのピノ・ノワール)
3.ピノ・ノワール②(ブルゴーニュ産地方名クラス、フレンチオーク樽15ヶ月樽熟成。重さのあるピノ)
4.シラー(仏コート・デュ・ローヌ産 5%だけグルナッシュ使用、木樽は不使用で果実味・スパイシー感で押すタイプ)
ピノ・ノワールだけはタイプの異なる2本を用意してみました。3のタイプも4のタイプも単体で合わせてみたことはあるのですが、どちらの方がより合うのかが知りたかったんですよね。
さて、これで準備は万端。実験を始めます。
ワイン1種類×鮪2部位×醤油2種類でペアリング実験開始!
ワイン1本1本を赤身&中トロ×醤油2種に合わせながら相性の検証です。赤身・中トロとも一口サイズ大に切り、醤油は片面に軽く付けるくらいの味付けで統一。口に含むワインの量も、鮪のサイズに合わせ少量で抑えています。
評価は、各ワインについて4通りのペアリング検証を5つ星中のいくつか、で採点していきました。
それでは、1本ずつ結果をお知らせしたいと思います!
1.カベルネ・ソーヴィニヨン(スペイン産カベルネ・ソーヴィニヨン100%、4か月の樽熟成を実施。力強く濃厚な王道カベルネ)
カベルネの代表に選んだワインは、こちらです。カベルネ・ソーヴィニヨン100%で樽熟成もあり。
『エレダード・デ・アルミスラ カベルネ・ソーヴィニヨン・オーク・エイジド 2019年』 カベルネ・ソーヴィニヨンというと渋みもあってとても生魚に合うようなイメージはありませんが、実はこの品種の中でも合わせ辛いのはグラン・クリュ・クラスのボルドーやカリフォルニアの新樽熟成強めのものなど、ごく一部。普段飲みに使うようなカベルネは、結構赤身に合わせやすいです。特に血合いの味わいがある赤身に、甘みのあるさしみ醤油をつけた時の相性はなかなかのもの。是非とも一度は試してみて戴きたいですね。 赤身×丸大豆醬油 ペアリング度:★★☆☆☆ |
2. ピノ・ノワール①((ドイツの冷涼地域産、クリアで軽めだが旨みはたっぷりのピノ・ノワール)
続いてピノ・ノワール比較検証用にえらんだのはこちら。いわゆる「しみじみ旨み系ピノ・ノワール」の代表格ともいえる、ドイツ産ピノですね。(*ドイツでは「シュペートブルグンダー」と呼ばれています)
3. ピノ・ノワール②(ブルゴーニュ産地方名クラス、フレンチオーク樽15ヶ月樽熟成。重さのあるピノ)
ピノ・ノワールの1本目はこちら。フィラディスワインクラブECサイトでは、2021年に単品の売上本数でNO.1となった大人気ブルゴーニュワインです。
『フランソワ・ド・ゴーダール ブルゴーニュ・ピノ・ノワール』 ブルゴーニュのピノ・ノワールこそ赤身の刺身と最も相性が良いのでは…と予想されていた方は多いのではないでしょうか。実際、僕も今回一番結果に期待をかけていたのがこのワイン。なんたって当店で一番売れているワインなわけですから、それが鮪の刺身と最高の相性だったりしたら願ったり叶ったり 笑 僕の感覚ですが、ピノ・ノワールの酸味が前に出て来る味わいだと甘みの要素がやや足りないのかな、と思います。実際にドイツのピノは鮪自体の味わいにワインの繊細な旨味が負けてしまった感じですし、ブルゴーニュ・ピノとでは4番目のさしみ醤油で合わせた時に相性度がある程度向上しましたので、例えば甘みのあるカリフォルニア・ピノなどだったらより合いやすいのかもしれません。これはSTEP-2以降で試してみる課題となりました。 赤身×丸大豆醬油 ペアリング度:★★★☆☆ |
4. シラー(仏コート・デュ・ローヌ産 5%だけグルナッシュ使用、木樽は不使用で果実味・スパイシー感で押すタイプ)
シラー種の代表で選んだワインは、こちらです。
『ドメーヌ・ド・ラ・バスティード コート・デュ・ローヌ レカルラート』 最後に、シラーですね。この品種は香りがスパイシーで華やか、かなり派手なスタイルですので鮪との相性はイマイチ想像し辛いのですが、僕は魚の種類・部位・食べ方によっては最上のマリアージュを作れる品種だと思っています。 赤身×丸大豆醬油 ペアリング度:★☆☆☆☆ |
食材・料理とワインの「繋ぎ方」
上記の検証結果としては「鮪のお刺身にはやはりシラーが一番合う!」、しかも「中トロにシンプルな丸大豆醬油が一番」という結果になりました。これは今までもローヌ系のワインのテイスティングレポートを書くときに必ずと言ってよいほど相性を試し、おススメの料理にしていたのである意味予想通りの結果だったかな、と思います。中トロの甘味に醤油の塩味、そこにワインの味が重なった時の一体感、おいしかったなあ・・・。
今回のペアリングのキーになったのはやはり「醤油」の味わい構成要素。赤ワインは「果実の甘さ」「酸味」「タンニンの渋みと力強さ」が要素になっていて、その中でも特に「果実の甘さ」の部分を合わせていく上で調味料にも同様に甘さがあると(ほんの少しでも良いです)同調がしやすくなります。そして、テクスチュア=食感の部分。ワインはアルコールによる粘性がありますから、ここでもさしみ醤油のアルコール添加によるとろみが刺身とワインをつなぐ架け橋になってくれているのが明確に分かりました。つまり、食材の味わい要素の不足部分、そして食感のギャップを調理法や味付けで補うことでワインとの距離はある程度短縮できる、ということです。
食材や料理を前提としてそこにワインを合わせていく場合は、
① まず、その食材が含んでいる「五味」各要素のあり・なしとその強さ、食感のスタイルを分析する
⇒例えば鮪の赤身の場合、食材そのものには「甘さ」は少ないですよね。少しねっちりとした食感も特徴です。
② 不足している要素を強めに含むワインを選び出す
⇒今回の結果から行くと果実味が豊かで甘さがあり、且つアルコール度数がある程度高く粘性もある「シラー」を選んだとしましょう。
③ 最後に、食材に調理や味付けで「甘み」を加えワインとの繋がり・調和を強固にする
⇒今回だったら、甘みとしてアルコール添加のしてある「さしみ醤油」を付けることで、味わい面での媒介ができマリアージュが完成された、ということになります。
以上で今回の実験結果報告は終了。
前回、前々回は「結局、その産地の料理とワインの組み合わせが最強」という土地のマリアージュが結果となりましたが今回は久々にロジカルにペアリングを構築することが出来ました!
それでは今回はこの辺で。長いコラムを最後まで読んで戴いてありがとうございました。
次回第25回のテーマは今のところ未定なのですが、「KALDIコーヒーファーム」さんで売っているワインに相性なおつまみの中からテーマを選んでいこうかと思っています。
案としては『ランプフィッシュキャビアを、ワインとのマリアージュで本物みたいに愉しむには?』なんて言うのがあるんですが、どうでしょうかね??上手くいったら、書いてみたいと思います 笑
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。
今回鮪のお刺身を購入した『角上魚類』さんの店舗案内ページはこちらです。
↓↓↓
https://www.kakujoe.co.jp/shoplist.php
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