ワイン職人に聞く、10の質問【第76回】ドメーヌ・ぺルノー(フランス・ブルゴーニュ地方)
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』 第76回
ドメーヌ・ぺルノー(フランス・ブルゴーニュ地方) オーナー・醸造家 パスカル・ぺルノーさん
連載シリーズ『ワイン職人に聞く、10の質問』、今回話を聞いた生産者は、1900年頃から続く歴史の古いドメーヌでありながら、何故かこれまで一度も日本市場に輸入されることの無かった『ドメーヌ・ペルノー』。
今回は4代目となる若き当主パスカル・ペルノーさんが10の質問に回答してくれました。
パスカルさんの造る、現代的な優美さを携え洗練極まるブルゴーニュ赤ワインたち。
これまでにFiradis WINE CLUBが紹介してきたどのブルゴーニュ生産者とも似通わない、まさに僕たちが求めていたバランス型スタイルです。
真っ白で清廉、非常にシンプルなラベルが、彼のワインスタイルを見事に象徴しています。
ブルゴーニュワインでなければ決して成し得ないこの「優美」。
Firadis WINE CLUBに欠かせない1本の造り手がワイン造りに込める思い・・・インタヴューを是非読んでみてくださいね。
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒僕が小さな子供の時、両親はいつも畑で一生懸命働いていて、家にいる時間は僅かだった。
だから、正直に言うと僕自身は大人になって栽培家になりたいと思ったことは無かったよ。
でも、ある時に父にこう言われたんだ。「私たちの世代は、自分自身でやりたい仕事を選ぶ、ということは出来なかった。親の仕事は継ぐのが当たり前、という時代だったんだ。だが、もしお前自身がやりたいことを見つけているのなら、自分の未来は自分で選び取りなさい」とね。
でも、その言葉を聞いて改めて考えてみたら・・・20歳の時に自分自身もワイン造りやテイスティングに強い興味と情熱があることに気付いたんだ。だから醸造学を学び、自分のルーツである仕事を選んだ。
両親は、僕自身がこの道を選んだことにとても喜んでくれたよ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒僕は、いつも地に足の着いた造り手でいたいと思っているんだ。
だから、畑で過ごす一時一時に幸福を感じているよ。心地よい気候の日の畑仕事、ブドウがすくすくと育っていく季節、そして天候被害が無くバランスの良いブドウが収穫できたとき・・・全てが美しく、この仕事を選んでよかったと思わせてくれる幸せな瞬間の繰り返しなんだ。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒まさにその反対、だけど、やはり自然災害がブドウを壊滅させてしまうようなときは本当に辛い・・というか、ある意味哲学的な気持ちにさせられる。
人間の営みなんて本当にちっぽけなものだし、僕らワイン生産者はあくまでも大地の恵みを享受しているだけの存在なのだから、常に謙虚でいないといけないよね。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒結局は畑でどれだけ良いブドウを生み出せるか、っていうところに尽きると思うよ。
それが、おいしいワインを造る基礎の基礎!
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒ヴェルヴェッティーで複雑性に溢れ、そして人の感情に直接を揺さりかけてくるようなワインだね。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒僕は栽培醸造家であるのと同時に、とてもオープンマインドな性格の人間なんだ。
世界中どこのワインを飲んでも、そのワインの良いところ・魅力を見つけ出して楽しめるのが自分の良いところだと思っている・・・日本のワインにも、大のお気に入りが何本もあるよ!
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒僕はブルゴーニュの出身だから、やっぱり郷土料理とのペアリングが一番大好きだな。
ジュヴレ・シャンベルタンと『コック・オー・ヴァン』、そしてエポワス(*ブルゴーニュ産のウォッシュタイプチーズ)みたいなパワフルなチーズを一緒に楽しむのは最高だよ。
基本的に僕の造るワインは赤身肉のシンプルな料理が一番良く合うと思う。
あまり濃い味のソースにしてしまうとワインの繊細さがかき消されてしまうから、塩胡椒だけの味付け程度で十分だよ。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒今と全く異なる環境で造ってみたい。例えば、以前1年だけ住んでいたことがあるオーストラリアとか。
世界中にはたくさんの種類のブドウ品種があってそれぞれ全く違うワインができるから、いろいろなところでワイン造りにチャレンジしてみたいな。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒僕のワインを取り巻く自然の全てにリスペクトを!
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒僕のワイン、そしてワイン造りに対する考え方に興味を持ってこの記事を読んでくれてありがとう。
是非、僕の畑を見に来て欲しいな・・・絶対に、がっかりさせないよ!!
・・・パスカル・ぺルノーさんへの一問一答インタヴューは、以上です。
今回のインタヴューは如何でしたか??
Firadis WINE CLUBはブルゴーニュの小規模生産者と数多く取引をしていますが、最近は本当に若手がどんどん台頭してきているなあ・・・という印象。
自身でワイン造りを生涯の仕事に選んだ熱意ある若者たちが活躍することで、シーンがどんどん面白くなっている感じがします。
『ドメーヌ・ぺルノー』、まだまだ知名度も低いですし、著名な評論家が手放しで評価しているような造り手でもありません。
ですが・・・ここからが注目の生産者だと思います。5年後10年後、どんなスターになっているのかが本当に楽しみ。
是非今のうちに、彼の存在をキャッチし、作品を試しておいてください。
『ドメーヌ・ペルノー・ペール・エ・フィス ブルゴーニュ・ピノ・ノワール』
『ドメーヌ・ペルノー・ペール・エ・フィス ジュヴレ・シャンベルタン』
『ドメーヌ・ペルノー・ペール・エ・フィス ジュヴレ・シャンベルタンアン・シャン』
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